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みずいろきんぎょ 後編

この回で完結です(^-^)

9.


けれど くるみは しゃしんのママを見て またさびしさを 思い出してしまったようでした。
目になみだをいっぱいに ためています。
みのるは かわいそうになって くるみのあたまをなでてやりましたが なみだがぽろんと床におちました。

ぴちょん。

「ほら 泣いているばあいじゃありませんよ。水色きんぎょは また一階に行ってしまったようです」
ねずみが大声を出したので くるみは顔をあげました。
「いっかい?」
「そうです 一階のキッチンで 音がしました」

くるみはなみだをぬぐい うれしそうに一階に走って行きました。
「帽子もないのに 大きな声を出して すみません。さあ ぼっちゃん 下に行きましょう」
ねずみは じぶんのあたまを ひとなでして 走って言ってしまいました。

あのねずみは たいせつな帽子を どこかでなくしたのかな。
みのるは そんなことをちらりと思いながら 自分もキッチンへ向かいました。

10.


キッチンは まるで朝もやのように 白くけむっていました。
くるみが手をのばしても けっしてとどかないはずの 冷凍庫のとびらが 開いています。

「きんぎょさんが 入っちゃったのかな」
つま先立ちで くるみがのぞき込んだ 冷凍庫の中は ひんやりとした冬の朝でした。
たくさん雪がつもった日に ふたりで作った小さな雪だるまがふたつ 今もちょこんと その中に並んでいます。
ママが入れておいてくれたのです。

「なかよしですね」
ねずみが寒さにふるえながらそう言うと 「でも 水色きんぎょさんが いないよ つまんない」と くるみは ごきげんななめです。
あのゆきだるまを作ったことも くるみは覚えていないのかもしれない。
すこしさびしい気持ちになりながら みのるが冷凍庫のとびらをしめると キッチンは まっくらになってしまいました。

外では まだ風がうおーんと おそろしくうなり おびえたくるみがそっと みのるに体をくっつけました。

ぴちょん。

音がしました。
「おふろばですね。こんどこそ まちがいありません」
ねずみが 元気に そういいました。

11.

おふろの中は ふわふわのしゃぼんで いっぱいでした。
今日だけ ママは そうじを忘れてしまったのでしょうか。
それとも たった今 だれかがこの中で 遊んでいたのでしょうか。
浴槽の中から 雲のようにまっ白い泡が ぷくぷくわき上がって ゆれています。

「水色きんぎょ この中かな」
声をはずませて くるみが 浴槽のなかを のぞきこみました。
「あぶないよ くるみ」
そう言ってかけよると ねずみも同じようにかけよって 浴槽のふちに トンと飛び乗りました。
「おじょうちゃん あぶないですよ  あっ!」

けれども すべってしまったのは あわて者のねずみのほうでした。
あっというまに その小さな体は あわの中にぼすんとおちて 見えなくなってしまいました。

「ねずみさん!」
くるみは大きな声をあげ みのるもあわてて手を あわの中に突っ込んで ねずみをさがしました。
けれども、どんなにかき混ぜても 手には何も触れません。

ぴちょん。

12.


風でも吹き込んだのでしょうか。
とつぜん みのるがかきまぜていた泡がすべて ぶわっと天上に まい上がりました。
からっぽになった浴槽の中に ねずみの姿は ありません。

まいあがった白いあぶくは 大きなたくさんのしゃぼんになり きらきら光ながら ふたりをつつみこみました。

あか あお きいろ みどり むらさき。
虹色の肌をしたしゃぼんは くるみのお気に入りです。
ふたりでおふろに入ったときは いくつも いくつも みのるは いもうとのために シャボン玉をつくりました。

目をきらきらさせながら だいすきなシャボン玉を見ていたくるみが かべを指さしました。

「ねずみさん!」

13.


かべには ずっと前 みのるがペンでらくがきしたねずみの絵が ありました。
くるみが大好きだった 子ども番組のねずみを まねて描いてあげたのです。
けれどなぜか ちっとも似ていなくて くるみに笑われました。
あとで気づいたのですが トレードマークの シルクハットを 描き忘れていたのでした。

ママに見つかって しかられて 消されそうになった らくがきでした。
でも くるみがそのとき 泣いてママにお願いしたのです。

このねずみは消さないで。おにいちゃんが描いてくれた くるみのねずみだから! と。


14.

ぴちょん。

ふわりと くうきがゆれて からっぽの浴槽から ヒラヒラと なにかがはね上がりました。

「水色きんぎょ!」

くるみのうれしそうな声も とびはねました。
しゃぼんのあいだを 泳ぐように くうきにとけてしまいそうな あわい水色のきんぎょが ふわりふわりと 尾ひれを ゆらしています。

ぼんやりと見つめてしまうほど それはそれは きれいな金魚でした。
ひらひらと ゆらゆらと ふたりのあいだを 楽しそうに およぎます。

くるみが 言いました。
「水色きんぎょ いたね おにいちゃん くるみ もうさびしくないよ」

外はもう、あらしが行ってしまったのか とてもしずかでした。
金魚はゆっくり 泳いだあと ぴちょん と 跳ねて またしゃぼんの泡のように 消えて見えなくなりました。

その時 玄関の方で 音がしました。パパとママの声がします。

「水色きんぎょ 見えなくても いつもそばにいるよね おにいちゃん  ありがとう」
くるみはそう言って笑うと 玄関の方に走って行ってしまいました。

15.

みのるは すこしてれたように「うん」と言い そして さっき死なせてしまった赤い金魚に 「ごめんね」と もういちど 心の中で あやまりました。

それから クレヨンを取り出すと かべのねずみに シルクハットをかぶせてやりました。

「ありがとうね ねずみさん」
かべのねずみが うれしそうに笑ったように 思えました。

玄関の方から うれしそうに はしゃぐ くるみの声が聞こえます。

「ねえママ 今日からは ちゃんとお部屋でねむるよ。くるみ おにいちゃ
んと いっしょがいいの」

ぴちょん。

【おわり】



***
読んで頂いた方の中になにか心残る
ものがあれば幸いです(^-^)




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「ナユのサバイ部屋」もありますので
よかったらみてやってください( ̄▽ ̄)
タイ バンコクでの生活とうまいもん、
イラストを多数用意しております♪
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みずいろきんぎょ中編

みずいろきんぎょ中編です(^-^)
5.


「それにしても 水色きんぎょとは めずらしい。私も一度でいいから 見てみたいと思っていたんです」
ねずみは そう言いました。
突然現れたねずみに みのるとくるみが おどろいて目を丸くしていると ねずみは恥ずかしそうに 頭に手を置きました。
「これは失礼。帽子をどこかに 落としてきてしまったようで」

帽子がないことを ねずみは気にしているようでしたが 2人はそれどころでは ありません。
みのるも くるみも しゃべるねずみにおどろいてしまって 言葉が出てきません。
「お嬢ちゃん。水色きんぎょを見たいと おもいませんか?」

ねずみのことばに くるみはもっと目を まんまるくしました。
「ほんとうに 水色になっちゃったの? くるみの金魚」
「おや? うそだと思ったのですか? おにいちゃんは、うそつきなんかじゃありません」
「見たい見たい! ねえ どこにいるの? くるみの金魚」

上のほうから 音がします。

ぴちょん。

「2かいですね。 お二人のお部屋でしょうか。さあ 行きましょう。水色きんぎょを さがしに!」
ねずみはそう言ったあと みのるをふり返り にこりと笑いました。


6.


子ども部屋につづく いつもの階段なのに どこかいつもの階段では ありませんでした。
ふわふわとして 足の下ではずみます。
まるで水にうかんだ うき草のような たよりなさです。
長い長いその階段をのぼりきったあと みのると くるみと 帽子をなくしたねずみは 子ども部屋に飛びこみました。

でんきがついていないのに 子ども部屋は ぼんやりと明るくて 出しっぱなしの くるみのおもちゃが
ころころと ちらばっているのが見えます。
みのるは いつものように おもちゃをかき集めて クローゼットに向かいました。
くるみがママにしかられないように いつもそっと 片づけるのです。

「やさしい おにいちゃんですね」
ねずみがそう言いましたが くるみはうさぎをだきしめたまま へやの中を きょろきょろ。
「水色きんぎょは どこ?」
みのるが おもちゃをかかえて クローゼットをあけたときです。

ぴちょん。

あぶくのようなシャボンがぷわっとまいあがり なにかがその中から飛び出したように見えました。

きんぎょ?
けれども またあたりは しんと静まり ふたりといっぴきの前に 金魚はすがたをあらわしませんでした。

7.


「かくれんぼするつもりでしょうかね。 水色きんぎょは」
ねずみがいうと くるみがわらいました。
「あのね おにいちゃんはかくれんぼするとき いつもクローゼットにかくれるんだよ。だから すぐにくるみに 見つかっちゃうの」

みのるは かおを赤くしました。
見つけられないと くるみはすぐに泣き出してしまうので みのるはいつも クローゼットにかくれて 見つけてもらうのを 待つのです。

「やさしい おにいちゃんですね」
またねずみがそう言いましたが やっぱりくるみは あたりをきょろきょろ。
「水色きんぎょは どこ?」

ぴちょん。

こんどは となりのパパとママの寝室から音がします。
「となりだね」
「かってに入っては しかられませんか?」
「へいき へいき」
そう言って くるみはとなりの部屋にとびこみました。

くるみは 夜になるとさびしがって ママのベッドにもぐり込むので いつものことなのです。
「ぼくといっしょの部屋で ねむることはないんだよ」

ねずみにそう教えてあげると ねずみは「そうですか」と さびしそうに うなづきました。

8.


となりのパパとママの寝室も やはりいつもとすこし ようすがちがいます。
まっ暗なはずなのに すみずみまで よく見えました。

それに いつもきちんと かたづいているはずなのに ひきだしが いくつも開いています。
まるでなにかが そこから出入りしたように。

風がふわりとうごいたような 気がしました。
ひきだしのひとつから なにかが はみ出して ゆれています。
はんとうめいの 水色の ひらひら。

「きんぎょ!」
くるみが はしりだしました。
みのるもおどろいて ねずみといっしょにかけよりました。
くるみが手をいっぱいにのばして そのひらひらを ひっぱりだします。

けれどもそれは ママのお気に入りの 水色のスカーフでした。
くるみは がっかりしたようです。
「なあんだ」

そのとき 手にもっていたスカーフに くっついていたのか なにかがパラパラとひきだしから こぼれました。
こんどは ねずみが走りよって のぞきこみます。

それは くるみが生まれた日の しゃしんでした。
ママにだっこされた くるみを見て ほんとうにうれしそうに笑っている みのるがいます。
「いい写真ですね」
ねずみは しっぽをくるんと ゆらしました。

みずいろきんぎょ 前編

「みずいろきんぎょ」


ちいさな兄妹みのるとくるみが主人公
のちょっと不思議な、心がそっとあた
たくなるようなお話です。
3回に分けてアップします(^^)


1.


みのるは窓の外を ちらりと見ました。
太陽はもうすっかり沈み ただゆさゆさと 木の陰が恐ろしげに揺れているのが見えるばかりです。
今夜は嵐になるかもしれないと さっき出かける前にママが言ったのを思い出していました。

となりに座っている小さな妹 くるみは お気に入りのうさぎのぬいぐるみを抱きしめたまま ソファから動こうとしません。

「だいじょうぶだよ くるみ。お兄ちゃんがついてるから 怖いことなんてないさ」

パパとママは急に用事ができてしまい ゆうごはんのあと 出かけてしまいました。
「みのる くるみをお願いね。そんなに遅くならないようにするから」
ママは心配そうに言いましたが もうずっと前から 妹を守るのはじぶんの役目だと みのるは ちゃんとわかっていました。

けれどくるみは うさぎを抱いたまま 泣きそうな顔です。
外ではうおーんと 風がうなりはじめました。
「ママがいないと いやだ!」
くるみの言葉が、みのるの胸をひんやりとさせました。

ぴちょん。

水の音?
玄関においてある、金魚ばちでしょうか。
1年前 くるみが おねだりしてパパに買ってもらった、きれいな金魚。
みのるは この部屋にもってきてやろうと思いつき、走り出しました

2.

あわててしまったからでしょう。
かかえ上げたとたん つるりと手がすべり 金魚ばちは床の上で こなごなに くだけてしまいました。

ガラスと少しの水の上で 赤い金魚はぴちゃぴちゃと飛びはねます。
みのるは慌てて水を入れたコップを持ってきて はね回る金魚を追いかけましたが やっとつかまえたときには その金魚は 動かない小さなかたまりになっていました。

コップの中にそっと入れても もう あのきれいな泳ぎを見せてはくれません。

妹のだいじな金魚だったのに。
みのるは声をあげて泣きたくなりました。
けれど今 さびしがっているくるみに この金魚を見せるわけにはいきません。

みのるはガラスを片づけ こぼれた水をふき そして風の吹き荒れる庭に出て、かわいそうな金魚を土にうめました。

ごめんね ごめんね と 心の中でなんども謝りながら。

3.


玄関にもどると うさぎを抱きしめて くるみが 泣いていました。
「おにいちゃん どこにいくの?」
みのるまで どこかに行ってしまったのかと思い 心細かったのでしょう。

「どこにも行かないよ だいじょうぶだから」
そう言ってやると ほっとしたようでしたが その目は あのお気に入りの金魚がいたあたりを 見つめています。
みのるが一番おそれていたことです。
「おにいちゃん くるみの金魚は? 金魚がいないよ?」
その声は今にも泣きそうで みのるを慌てさせました。

「金魚はいるよ ちゃんといるんだ」
みのるはいっしょうけんめい考えました。
くるみを悲しませちゃいけない。

「金魚はね おとなになったから 水色になったんだ。 それに、もう水がなくても平気でさ。 ふわふわ この家の中を 泳ぎ回ってるんだ」

思わずそう言ってしまうと、くるみはおどろいたように みのるを見つめました。

4.

「そんなのうそだもん くるみの金魚はどこ? おにいちゃんのうそつき!」
くるみの顔はみるみる赤くなり またぽろぽろと 涙があふれ出しました。
さっき拭いた床の上に 涙の水たまりができそうないきおいです。

ごめんね と あやまりたいのに どうしてもそれが言えず、みのるは いるわけもない水色の金魚をさがすように あたりを見回しました。

「ほんとうだよ。いるんだってば」
「いないもん おにいちゃんのうそつき」
その言葉はとても悲しく みのるの中にしみこみました。
うそつきなのは 本当のことなのですから。

「うそじゃないですよ」

それはポンと はじけるような 軽やかな声でした。
もちろんみのるの声でも くるみの声でもありません。

「ほんとうです。 水色きんぎょは ちゃんといるんです」

2人があわてて声のほうを振り向くと、げた箱の上で、小さなねずみが 初めまして と 頭を下げました。




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